
近年、テレビのCMで腸内フローラという言葉をよく耳にするようになりました。腸内フローラを整えるとお腹の調子をよくするだけなく、さまざまな健康へのメリットがあります。
腸内フローラを整えるときにぜひ取り入れたいのが「オリゴ糖」です。
そこで今回は、腸内フローラについてや、オリゴ糖の摂取のポイントについてご紹介します。
今さら聞けない!腸内フローラとは?
人間の腸内には、数100種類、100兆個もの腸内細菌が住んでいることが分かっています。これらの腸内細菌は花畑のように種類ごとに分布していることから、英語で花畑を意味する「flora」にちなんで「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内フローラは、遺伝や年齢、食事やストレスなどの生活習慣によって1人ひとり異なるものです。
腸内フローラを作る腸内細菌にはどんなものがある?
腸内フローラを構成する腸内細菌には、体によいものとそうでないものに分けられます。腸内フローラの細菌は大きく次の3つに分けることができます。
◇善玉菌:主に糖分や食物繊維をエサにして、酢酸やビタミンなど体によい成分を作り出したり、免疫を刺激して健康によい効果をもたらす腸内細菌。
(例)乳酸菌、ビフィズス菌など
◇悪玉菌:アンモニアや発がん物質など腸内有害物質を作り出す腸内細菌。
(例)ウェルシュ菌、大腸菌
◇日和見菌(ひよりみきん):ふだんは体によい作用も悪い作用も起こさない菌。腸内フローラで優勢の菌に味方をする性質がある。
腸の中では、腸内細菌により日々陣取り合戦が行われています。腸内フローラのバランスを改善させるには、いかに善玉菌を優勢にするかがポイントになります。
腸内フローラのバランスが崩れるとどうなる?
1人ひとりの食事などの生活習慣が異なれば、腸内フローラも異なります。悪い生活習慣を送っていれば、悪玉菌が優勢の腸内フローラになっている可能性があるということ。
腸内フローラが悪化することによる健康リスクには次のようなものがあります。
・便秘や下痢になりやすくなる。
・免疫が低下して、アレルギーや感染症にかかりやすくなる。
・腸内から有害物質が増えることで、病気のリスクを上げる。
健康にも大きな関わりのある腸内フローラ。
しかし、加齢や生活習慣などによって悪玉菌が増えると、腸内フローラのバランスが崩れて健康へ影響を与える可能性があるのです。
腸内フローラのバランスを改善させるには?
腸内フローラのバランスを改善させるために大切になるのが、善玉菌を増やす生活を送ることです。
善玉菌を増やすには以下の方法が挙げられます。
・食物繊維の豊富な食品を取る
野菜や果物などに豊富に含まれる食物繊維は、便の容量を増やしたり、善玉菌のエサとなって腸を刺激することで、お腹を整える効果があります。
・食品から乳酸菌を取る
腸内フローラを整えるには、食品から乳酸菌を取ることも有効です。
乳酸菌を多く含む代表的な食品として知られているのが、ヨーグルトなどの発酵乳製品。
また、漬物や味噌、キムチ、ザワークラウトなど、世界にある昔ながらの発酵食品にも、乳酸菌は豊富に含まれています。
腸内フローラの改善に役立つ食物繊維や発酵食品ですが問題もあります。ひとつは、食生活が豊かになったにもかかわらず、年々日本人の食物繊維の摂取量が減っていること。
そして、もうひとつは、ヨーグルトや漬物などの発酵食品を取ることで、糖分や塩分を取り過ぎてしまうリスクもあることです。
そのようななかで、腸内フローラを改善させるのに役立つのが、オリゴ糖を摂取する方法です。
オリゴ糖とは?
オリゴ糖にははっきりとした定義はなく、糖分の最小単位である単糖が2~10個結びついた糖類のことを指します。
そのため、果糖やショ糖などの二糖類も、実ははオリゴ糖といえるものです。ただ最近では、3つ以上の単糖が結びついたものをオリゴ糖と呼ぶことが多くなります。
一言でオリゴ糖といっても、さまざまな種類があります。たとえば、大豆から抽出された大豆オリゴ糖、乳糖から作られたガラクオリゴ糖などさまざまな種類があります。
オリゴ糖の腸内フローラ改善効果
オリゴ糖は消化されにくいためエネルギーが低く、善玉菌のエサとなることで善玉菌の数が増えるので、腸内フローラの環境を改善させる効果があります。
実際にオリゴ糖の整腸効果に関する研究では以下のような、整腸効果がみられたという報告があります。
・高齢者に大豆オリゴ糖を3週間摂取させたところ、ビフィズス菌の数が増えて、悪玉菌が発生するアンモニアが減った。
また、便秘傾向であった高齢者の排便の回数が増えて、便の量も増えた(※)。
※引用:和田光一ほか / 大豆由来オリゴ糖摂取の老人の腸内フローラおよび便性に及ぼす影響 / https://www.jstage.jst.go.jp/article/jim1987/4/2/4_2_135/_pdf
オリゴ糖を摂取するときの注意点
腸内フローラを改善させる効果のあるオリゴ糖ですが、注意したいのが摂取する量です。オリゴ糖を一度に大量に摂取すると、人によってはお腹がゆるくなることがあります。
オリゴ糖は水分を取り込む力が強い食品であるため、大量に摂取することで、腸内の水分量が増えて下痢を引き起こすためです。
もちろん、オリゴ糖を適度に取ることは、善玉菌を増やす効果があるので、整腸作用にもつながります。
市販の甘味料や加工食品に含まれているオリゴ糖の量は2~10グラム程度。腸内フローラを改善するためにオリゴ糖を摂取する場合は、一度に大量に摂取しないように注意しましょう。
■上手なオリゴ糖の摂取方法は?
腸内フローラを改善するためにオリゴ糖を摂取が気になる人もいるでしょう。オリゴ糖を含む食品には以下のものがあります。
・納豆や豆腐などの大豆製品
・バナナ
・玉ネギ、キャベツ、トウモロコシ、ネギ、アスパラガス、ゴボウ
ただし、食品に含まれているオリゴ糖は少量になるため、甘味料としてオリゴ糖を摂取する方法もおすすめです。
一度に大量に摂取すると下痢を引き起こすオリゴ糖は、特定のシーンに決めて食べるのがおすすめです。
オリゴ糖を摂取するのに、手軽な方法が、乳酸菌の豊富なヨーグルトと一緒に食べることです。
ちなみに、ヨーグルトに含まれている乳酸菌の多くは、胃酸の作用によって死滅してしまいますが、腸内で善玉菌のエサになったり、免疫力の向上にも役立つことが分かっています。
最近では「プロバイオティクス」といって、生きたまま腸内に乳酸菌が届くヨーグルトも人気があります。
一方で、生きた乳酸菌を摂取しても、腸内に届くのは一時的なものです。プロバイオティクスのヨーグルトでも、毎日定期的に食べることが大切です。
どのタイプのヨーグルトにしろ、オリゴ糖を一緒に食べれば、腸内フローラのバランスを改善するのに役立つはずです。
ただし、甘味料のオリゴ糖のなかには、いくつかの糖分を組み合わせているケースは多いので、確認するようにしてください。
料理に味付けのオリゴ糖を代用できるか?
甘味料としても使用されるオリゴ糖は、料理やお菓子の調理の味付に使用できるのでは…?と考える人もいるかもしれません。
オリゴ糖は、ふつうの砂糖よりも甘味が弱いため、その分、量を使うことになります。
オリゴ糖を大量に摂取するとお腹がゆるくなることもあるので、品数や量に気をつけて使用するようにしましょう。
まとめ
善玉菌のエサになるオリゴ糖は、腸内フローラのバランスを改善に役立つ効果があります。
毎日の食生活のなかで、オリゴ糖を豊富に含む食品や市販のオリゴ糖を摂取して、腸内フローラのバランスを改善を目指していきたいですね。
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江波明子

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