
『腸は第2の脳』そのようなフレーズを耳にしたことがあるかと思います。
生物の中には、イソギンチャクやクラゲ、サンゴなど脳がなく腸だけで生きているものも存在します。
それらの生物を観察してみると、腸が脳の働きをしていることが良くわかると研究者は言います。
人間は、腸も脳もある生物。
それらの相関関係を知っていくことで、毎日が楽しく幸せな気分に、ストレスを受けても体調の負担が少ないカラダにしていきましょう!
1.腸は第2の脳!そのワケは?
人間は外的環境から情報、判断材料、心的ストレス、好意悪意の感情などを受けます。
そして、脳の情報は、脊椎から自律神経を通じて腸管粘膜にある神経細胞にすべて伝達されます。
また、クラゲやヒトデ、イソギンチャク、ナマコやミミズ、ナメクジなどの脳がなく腸がある生物を“腔腸動物”といいます。これらの生物を注意深く研究すると、腸には神経細胞がびっしりと並んでおり、入ってきた内容物に応じて分解や吸収する反応が行われています。
神経細胞がびっしり並んでいる臓器は、腸以外には存在しないとされています。
そのため、腸は脳と同じ「考える臓器」といえることから、『腸は第2の脳』であると言われているのです。
2.腸と脳は繋がっている
脳は、脊髄(運動系、知覚系、自律神経系の神経の伝達路)や、迷走神経(運動系、知覚系の神経で、副交感神経性の繊維を持っている)と連絡を取り合っています。
そして、脊髄や迷走神経は、腸管と連絡を取り合っています。
また、脊髄と迷走神経は、消化管とも連動しているのですが、消化管も腸管と繋がっていることから、腸と脳は深い繋がりがあることがわかります。
腸管の運動は自律神経のバランスによりコントロールされています。
このバランスが崩れてしまうと、下痢をしてしまう、または便秘を起こしてしまいます。
加えて、下痢や便秘が起きている腸内環境では腸内細菌の数も減少してしまい、免疫機能の低下や臓器の炎症を引き起こしてしまいます。
つまり、自律神経のバランスを引き起こしてしまうようなストレスへの対応は、様々な病気に罹りやすいカラダへ向かわせてしまうのです。
3.腸内細菌と精神的要因
アメリカやロシアの宇宙飛行士の腸内細菌を調べた実験で、飛行前や飛行中に善玉菌が減り、悪玉菌が増えるといった変化が見られたという報告があります。
また、阪神淡路大震災においても変化が見られ、心理的ストレスが善玉菌を減らし、悪玉菌を増加させたと考えられました。
これらの現象は、九州大学の須信行教授らのグループによる系統的な研究によると、生体は有害なストレスを受けたときに、視床下部―下垂体―副腎軸を介して腸内細菌に影響を与えていることが明らかにされました。
つまり、不安や緊張は腸内細菌のバランスを乱してしまうのです。
九州大学の須信行教授らのグループの実験は、これだけでは終わりません。
マウスを使った実験での結果は、腸内細菌がストレス反応を抑えることや腸内細菌が脳内に神経成長因子や神経伝達物質を送り込んでいる、ということが明らかになったのです。
また、うつ病や自殺には、腸内細菌のバランスが関係しているとも考えられています。(藤田紘一郎:心の免疫学、新潮選書, 2011)
その理由として、うつ病は腸内のセロトニンの量が減少すると発症するといわれています。そのセロトニンを脳内まで届け、増加させるためには、腸内細菌のバランスが整っていることが前提にあるためです。
4.まとめ
いかがでしたか。今回は、なぜ腸は第2の脳と言われているのか。そして、脳と腸はどのような相関関係を持っているのか、項目に分けてご紹介いたしました。
精神的な病や心理的ストレスは、脳で発生し、脳に影響を及ぼすものと認知されていたかたも、腸内細菌のバランスと影響を及ぼし合っていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
気分が上がらない、上手に眠れない、イライラする時間が増えた、などの時に、ストレスを発散することも大切ですが、腸内環境が整っているか見直してみることもおススメのアプローチです。
腸内環境を整えて、日々の生活に更なる彩りを増やしていってください。
関連記事

安東成道

最新記事 by 安東成道 (全て見る)
- メタ認知を活用して、ストレスと上手に付き合おう! - 2018年4月20日
- 料理の前のひと手間で簡単に病気予防する方法~野菜編~ - 2018年4月8日
- 入浴時の温度差に注意!冬の楽しみに落とし穴「ヒートショック」ってなに? - 2018年2月19日