
野菜を育てるために使用する農薬について、どのようなイメージをお持ちですか?
なるべく身体に入れないほうが良いイメージはあるけれど、野菜を育てるためには必要なものじゃないのかな、そのように感じられるかもしれません。
そしてなんと、日本の農薬使用量は中国、韓国に次いでなんと3位!そして、その量はアメリカの約5倍なのです!
今回は、なぜ農薬を使用するのか、そして農薬を身体に入れ蓄積してしまうとどうなるか、農薬をなるべく身体に入れないようにするためのひと手間を、ご紹介していこうと思います。
1.農薬はどうして使われるの?
1)土壌・地力の低下
気温が上がってしまい、土壌が酸性化していることや、土壌中の有機物が減少していることで肥沃度が低下していることにより、作物の病害虫への抵抗力が低下してしまったと考えられています。
2)農薬を使用しなくてはいけなくなった
消費者が購入したい品種が、病害虫への抵抗力が弱いことや、農薬を低毒化していった結果、使用量が増加したということがあります。また、ハウス栽培が多い日本は、使用量が多いことや残留農薬が増加することも挙げられます。
3)消費者の需要増加に応えるため
スーパーに、旬の影響なく野菜や果物を陳列するためには、農薬を増やさなくてはなりません。また、味よりも見た目を気にする消費者が増えたことで、形を均一にしなくてはならないことも使用量が増える理由です。
2.農薬が身体に蓄積すると?
1)呼吸困難や下痢、嘔吐を起こすことがあります。また、運動のマヒなどの神経症状が現れることも考えられます。体内に入って数日内で起こり、大量に摂取すると死に至るケースもあります。かつて中国産の野菜で使用されている農薬で、「いんげん」や「小豆」から検出されたジクロルボスや、メタミドホスなどを耳にしたことがあると思います。
2)残留農薬のような化学物質が体内に入ると、“活性酸素”が発生します。この活性酸素が必要以上に大量発生してしまうと、細胞や遺伝子が傷つけられ、発がんのリスクを高めることや、様々な病気を誘発すること、老化を促進するといわれています。
また、化学物質を分解する肝臓が過剰に活動することで、肝臓にまつわる病気にも罹りやすくなるといわれています。
3)胎盤や精子に影響し、催奇形性(生まれてくる子どもに影響)の確率を高めるといった危険性も考えられています。多くの野菜や果物、穀物、家畜の肥料や、海に流れ出て魚介類に滞留していることもあります。特定のものを摂取したことでの問題ではなく、さまざまな食べ物から残留した農薬を摂取することで、危険度が上昇することを気にしておかなければなりません。
3.農薬の不安を減らす自衛策
農薬が残りやすい部分
葉物野菜:小松菜、ほうれん草、チンゲン菜、ネギなど。
調理前に湯がきましょう。湯がいたお湯は使わないようにしましょう。
土が付いていた根の部分は切り捨てましょう。
結球野菜:レタス、キャベツ、白菜など。
外側の葉が最も農薬に触れているため、外側の葉は捨てましょう。
根菜類:人参、さといも、大根、ごぼう
土に散布された農薬や消毒剤を取り除くために、流水で土をしっかりと落としましょう。しっかりと洗って、皮を厚めにむくと安全でしょう。
その他の野菜:トマト、ピーマン、もやし
トマトは農薬を大量に使用している代表格。流水で30秒程度しっかりと手
でこすり洗いをして、湯むきをしておくと安心です。
ピーマンも農薬を多く使用されやすいため、しっかりとこすり洗いして、細切りにし、ゆでこぼすまで茹でるとよいでしょう。
もやしは念のため、ひげ根の部分をカットしましょう。
4.まとめ
いかがでしたか?健康に気を遣って、お野菜中心の食事を心掛けていても、目に見えない化学物質で体調を崩してしまっては元も子もありません。
食用油や、お肉の脂、お魚の鮮度、食品添加物を気にすることと同様に、お野菜にどのような農薬が使用されているかにも、目を向けておくことが良さそうです。
もし、目を向けることが難しいのであれば、残留農薬をなるべく体内に入れない工夫をすることが日々の健康維持には欠かせません。
そして、残留農薬はご自身のお身体だけではなく、これから生まれる未来の子どもへも影響を及ぼすと考えると、農薬の危険性を緩和する調理法を習慣にすることが良さそうです。
ぜひ、参考にお料理なさってみてください。
【参考】
増尾清(2013)『農薬・添加物を家庭で落とす方法』,宝島社.
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安東成道

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